中部トゥア・ティエン・フエ省のフォン川の下流にあるシン村は中部の民間版画の有名な生産地です。史書によりますと、シン村の木版画は今から400年前に生まれました。これはフエ市を訪れる観光客にとって、見逃すことができない見所の一つです。
別名ライアンという名でも呼ばれているシン村はフエ中心地から東へ9キロ離れたところにあります。シン村の木版画は北部のバクニン省のドンホー版画とハノイのハンチョン版画と似たところがあります。シン村のお年寄りの話によりますと、ベトナム封建時代の最後となったグェン王朝について南下していった人々の中に、キヒュホアという人物がいました。その人は木版画を生産する職業で生計を立てました。それ以来、シン村の木版画が生まれました。
フエのシン村の木版画は素朴で彫刻や色彩もシンプルです。この木版画は一族一家の繁栄安泰、豊かで幸福、平和の生活を望む民間信仰を反映させたものです。また、この版画は凶事を追い払い、吉事や幸福なことを迎える民間儀礼が渇望され、その民間礼拝の儀式のために生まれました。シン村の木版画の職人ヒュ・フォクさんは次のように語りました。
(テープ)
「それぞれの地方にはそれぞれの習慣や信仰があります。ホーチミン市では紙を祀る習慣がありますが、本日、ホーチミン市の人々はシン村の木版画を見て、すぐに気に入れ、予約しました。シン村の木版画は主に正月を始め、毎年陰暦10月から2月までに供養されています。」
シン村の木版画を作るにはまず、木版で印刷されますが、残りは職人が自分の手で描きます。そのため、2枚の版画は全く同じということはありません。版画に使われる色は海岸や沼地の貝類や植物から作られたものです。主な色は赤、青、黄、黒などの色です。ドンホ版画には4,5つの色しかありませんが、シン村の木版画はより多くあります。先ほどのシン村の木版画の職人ヒュ・フォク( Huu Phuoc) さんは次のように語りました。
(テープ)
「シン村の木版画は手彫りで手作業です。木版で絵画を刷ってから、色を付けます。一回一回は一つの色を塗ります。シン村には木・火・土・金・水という 五行を代表する5つの色彩をよく使います。
シン村の木版画に使う紙はフエのタムザンラグーンに生息する貝類の殻を利用していたものです。今日、シン村の版画職人は多くの人々の需要に応えて、版画に民間の遊び、自然風景など新しいテーマを取り入れています。
現場の音
シン村を訪れる観光客は生産工程を体験することができます。中部クアンビン省の観光客レ・マイ・フォン( Le Mai Huong) さんは次のように語りました。
(テープ)
「フエの伝統職業を理解するため、このシン村を訪れています。シン村の木版画の原材料は貝類の殻や植物から生まれたものですから、本当に、面白いです」
シン村の木版画はフェの伝統的文化を示すもので、フエ観光の魅力の一つとなることでしょう。